介護職員等特定処遇改善加算で人材確保

今年10月から開始された介護職員等特定処遇改善加算(以下、特定加算)をみなさんの施設では、導入されていますでしょうか?弊社では導入をお薦めしております。
現在の導入状況はどうなっているのか?
福祉医療機構が介護施設・事業所を運営する法人を対象に、2019年10月の介護報酬改定で新たに設けられた特定加算に関するアンケート調査を実施した結果が出ました。
①開始時期について
75%以上の法人が10月からすで算定しており、今後予定している事業所は17%ほどです。7%の事業所は導入の予定はないという結果になりました。
②加算の達成、準備するにあたっての課題
配分方法や賃金バランスで頭を痛めた法人様が50%を超えていました。割合が高い結果の回答を見ると、誰に配るのかと職員からの不平を出させないかに非常に頭を悩ませたことになるでしょうか。
③見える化の対策
情報公表システムとホームページ上で掲載(予定)する割合が40%前後で分かれていますが、掲示することを選択する法人も20%弱いらっしゃるようです。
④配分方法
a-b-c全グループで配分していた法人が70%以上でした。介護職員以外の従業員に配慮した結果と言えそうです。
⑤「経験・技能ある介護職員」の設定
70%以上の法人が設定されているものの、30%近くの事業所が設定しないところも発生しているようです。設立間もない事業所が多い結果ともいえます。
勤続年数の条件を設定している法人が80%弱ありますが、多くは10年で設定しているようです。
勤続年数を自法人の経験のみに限定している割合が40%、他法人も考慮している割合が50%ほどでしょうか。役職や人事考課で対象にするかを決めているかも一定割合いました。
⑦賃金改善対象者がいない事業所の事情
「小規模で加算額が少額」、「直ちに一人の賃金を引き上げるのが困難」とされる事業所が目立つ一方、「すでに年収440万円以上いる」と回答された法人も35%近くいます。賃金については二極化されている傾向が見られます。
今後、特定加算の導入した方が良い理由
以上の結果を見まして、改めて特定加算は導入した方が良いと提案いたします。
理由としては以下の通りです。
①すでに多くの法人が導入している
②人材戦略の良い見直しとなる
③リーダークラスのスカウトになりやすい
④スキルアップの目標となる
①すでに多くの法人が導入している
特定加算を70%以上の法人が導入しており、来年3月までに20%以上の事業所も導入を検討しているようです。今回の特定加算で職員一人あたり、月に1~3万円も処遇が改善したとの報告もでています。
特定加算を導入しなかった場合、処遇面で他の法人と比べて金額が見劣りしますので求職者にとって応募の優先順位が低くなることにつながるので早急に導入することをおすすめいたします。
②人材戦略の良い見直しとなる
法人様からのご意見によると、今回の加算がきっかけで未経験者の応募が増加したという報告が来ております。賃金制度やキャリアパスを見直すきっかけになったというご意見も出ております。
介護職員の人材確保をするための特定加算ですから、採用した後の育成・定着の体制を見直すことでより人材面が厚くなるのではないでしょうか。
③リーダークラスのスカウトになりやすい
マスコミにより、「介護職で10年働けば全員月8万円増額する」と誤解している職員さんが多く見られました。
また、特定加算の取得、分配方法についての情報公開が来年の4月から始まりますので、他の法人の処遇を情報収集して条件の良いところに行きたい職員さんが出てきてもおかしくありません。
これは、まだ導入していない法人様にとってはチャンスであり、リーダークラスを特定加算により月額8万円、もしくは年収440万円にすればスカウトできる可能性もあります。リーダーは他の職員さんの影響力が強いので、これをきっかけに加算を導入するという方法も良いのではないでしょうか。
④スキルアップの目標となる
「経験・技能ある介護職員」を年数ではなく、役職や人事考課で設定している法人様が一定数いました。このことから、職員さんのスキルアップを見える化して向こう何年間何を頑張れば、特定加算がよりもらえるのかを検討してみてはいかがでしょうか。
以上のことを踏まえた上で、特定加算は遅くとも来年4月までには導入した方が良いと考えます。導入にあたっての事務手続きや分配方法について課題もありますが、それ以上の人材対策の手段となる加算と考えられますので、ぜひとも検討してみてください。
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